【ファーウェイ】アメリカ政府が恐れる程までに成長できた理由

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ファーウェイのすごさとは?

ファーウェイCEO・任正非ってどんな人?

ファーウェイの経営って他企業とどう違うの?

こういった疑問に答えます。

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松山湖キャンパスってなに?

まずはこれらの写真をご覧ください↓これらの風景はどこの国のものだと思いますか?

見た目が西洋風の建物なのでヨーロッパのどこかかなぁと考えた方も多いと思います。

ですが、これは中国の東莞市にある松山湖キャンパスというところです。

120万㎡という巨大な敷地の中にヨーロッパ風の街並みが再現されています。
(東京ディズニーランド・シーを合わせた敷地面積:100万㎡よりも広い)

街並みの内側には未来的かつシャープな印象のオフィスや様々な施設が軒を連ねます。

そうです、何を隠そうこの街ともいえる広大なキャンパスがファーウェイが約1600億円を投じて作った研究開発施設なのです。

アップルやグーグルを倣い、研究者の創造性や独創性を発揮しやすい環境を整えることを重視していることがうかがえます。

技術力・研究力・営業力を武器にアップルやサムスンを凌駕

技術力

中国はコピー大国という印象もあり、ややもすればその技術力を低く見積もってしまいがちですが、最近の中国の技術進歩には目を見張るものがあります。

2019年8月16日、ファーウェイとして初の5Gスマホ・Mate20X (5G)が発売されました。

そのスマホ内部を見てみると、メイン基板の設計は少々洗練さに欠ける印象です。

ただし、2枚の半導体パッケージを重ねるPoP(パッケージ・オン・パッケージ)という先端技術を、実用化して間もない5Gスマホに実装しているあたり、これからの通信事業をけん引していくんだという姿勢が見て取れます。

ちなみにこれらの半導体はファーウェイの傘下である海思半導体(ハイシリコン)によって製造されています。

さらに、5G基地局用設備においても、ファーウェイのすごさが光ります。

ファーウェイを含む、エリクソン、ノキア、サムスン、ZTEの5G基地局用設備を手掛ける5社の間でイギリスの調査会社・グローバルデータがそれぞれの実力を診断しました。

結果はなんと、ファーウェイが唯一「ベースバンドユニット性」「周波数ポートフォリオ」「導入しやすさ」「革新性」の4項目全てにおいて最高評価を獲得しています。

研究力

2019年4月、深圳市で開催された「グローバルアナリストサミット」にてファーウェイの戦略研究院院長の徐文偉氏は次のように述べました。

今後、多くの大学と協力して先端技術イノベーションラボを開設する。ラボは論文の発表を目標にするのではなく、基礎的な研究の進展とイノベーションに重点を置き、学会と実業界のウィンウィン実現を目指す。

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単にビジネスで成果を出すことに躍起になるのではなく、あくまでイノベーションを実現するために優秀な大学・研究機関と協力したい、という宣言と受け取ることができます。

さらに、後ほど紹介しますがファーウェイには103条からなる基本法があり、そのうちの1つに「売上高の10%以上を研究開発費に充てる」という決まりがあります。

このことからもいかにファーウェイが研究開発・技術進歩を大切にしているかわかります。

事実、↓の表にもある通り2018年のファーウェイのR&D投資額はアップルやマイクロソフトを上回っています。

加えて、ファーウェイの研究力の源とも言えるのが「オープンさ」です。

ドイツのライカカメラやイギリスのアーム・ホールディングス、そしてスイスのABBなど、多くの海外企業とも共同研究を進めています。

変に自分たちだけでもがくのではなく、外部の良いところがあれば積極的に取り入れようとする姿勢が見て取れます。

営業力

2011年の3月に東日本大震災が発生しました。

多くの外国人が日本を去る中、ファーウェイCEO・任正非氏の娘であり、最高財務責任者でもある猛晩舟氏は日本行きの飛行機に乗っていました。

災害によってダメージを受けた東北の通信インフラの復旧現場の第一線で指揮を執るためでした。

その後も続々とファーウェイの社員が来日し、わずか2週間の間に668もの基地局の復旧作業を完了させました。

さらに、2019年6月には胡厚崑副会長が上海市内で行われたサミットで「世界30カ国の通信事業者50社と5Gの商用契約」を結んだことを明らかにしています。

その中でも一番多いのは英国やスペインなどの欧州で、28件もの契約を結んでいます。

米国はその成長力を恐れてか、ファーウェイの製品にはセキュリティー面などに問題があると批判していますが、その批判をもろともせず、実際には様々な国でファーウェイ製品が採用されています。

アメリカには煙たがられていますが、そのほかの多くの国からの受け入れを可能にしたのがファーウェイの、「その国の社会に入り込む営業力」だと言えるでしょう。

※補足ですが↓の表をご覧ください。少し見づらいですがファーウェイの地域別の売上高です。

注目したいのがアメリカでの売り上げです。

2018年のアメリカでの売り上げは約479億元と、全体の10%にも及びません。

この通り、ファーウェイの米国事業は元々小さいため、市場としての米制裁によるダメージを受けづらいと考えられます。

ファーウェイ創業者・任正非氏の波乱万丈な人生

貴州省の貧困家庭に生まれる

中国はすさまじい勢いで経済発展を遂げましたが、もちろんそこから生じる問題も多くあります。

代表的なものが沿岸部と内陸部との格差、いわゆる「東西格差」です。

任氏の故郷である貴州省安順市も例外ではありません。

最近になって市の中心部で新しいマンションやビルが建ち始めたものの、大通り沿いを抜けると一昔前の中国と様子はさほど変わらず、スラム街も存在します。

その地域に住む人々は毎日を生きるのが精一杯で、ファーウェイのCEOが誰かさえ知らない人も多いでしょう。

そんな地域で育った任一家ですが、任氏の両親は7人の子供を持ちながら安月給の教師をしていました。

そんな苦しい環境ながらも7人の子供全員を学校に通わせていたため、任家の生活は貧困を極めました。

自分がたくさん食糧を食べてしまえばその分弟や妹たちの取り分がなくなってしまうので、お腹が満たされる日などありません。

任氏は後に、こういった貧困家庭で暮らした苦い経験が現在経営者としての忍耐強さに繋がっているかもしれないと語っています。

文化大革命による人生思想に対する影響

1966年に毛沢東主導による文化大革命がはじまりました。

多くのエリートや知識人が自分の人生を糾弾され、思想改造を迫られました。

その人々の中に教師をしていた任氏の両親も含まれていました。

任氏は自分の両親が絶対的な権力を前にあらがうことも出来ず支配されるという不条理を目の当たりにします。

そしてこの出来事が人生観を一変させたと任氏は語ります。

その人生観がファーウェイの社員との接し方にも表れています。

私はファーウェイを経営するようになってから社員、ひいては退職した社員に対しても寛容だった。その代わり仕事に献身的かつ責任感と使命感の強い社員を幹部に登用し、彼らには厳しい要求を課している。父と母の思想改造の過程を目の当たりにしてきたことは後々の私の寛容さの原点となっている。 (ファーウェイ創業者・任正非)

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いつでもどこでも、誰かれ構わず厳しい態度をとるという理不尽なことはせず、人一倍責任感が強い社員のみを幹部に登用し、お互いに刺激し合う。

そしてその他の社員には穏やかに接することで社員に不条理さを感じさせず、部下の気持ちに寄り添った関係というふうに言えるでしょう。

他の中国企業に先駆けてグローバル進出できた理由

ファーウェイは1987年に任氏を含む6人の共同出資者により集まった2万1000元を元手に創業されました。

元々ファーウェイは電話交換機を輸入し、それを販売するという、商社のようなビジネススタイルでした。

ところが輸入先の企業が買収されてしまい、ファーウェイが持っていた代理販売の権利を失ってしまいます。

困ったファーウェイは自社で交換機を開発するという一見いばらの道を選択しました。

しかしこの選択が功を奏し、1993年にはデジタル交換機の開発に成功します、

当時、デジタル交換機の開発に成功した中国企業はファーウェイのほかに、巨龍通信設備、ZTE、金鵬電子、大唐電信の計5社でした。

その5社のうちファーウェイのみが民間企業で残りの4社は国有企業だったため、その4社からはファーウェイは競合とはみなされていませんでした。

それを受けてファーウェイは国内での競争を避ける意図も含みながら海外に成長の機会を求めました。

いち早くグローバル進出を果たしたファーウェイは他の中国企業との差を大きく伸ばし、民間企業ながら中国代表と言わしめるまでに成長したのです。

成長するためだけに特化した異質ながらも理にかなった経営システム

あらゆる不測の事態に備える

ファーウェイは常に不測の事態を察知し早めに手を打つという姿勢を徹底し、今までも様々な障害を粘り強く乗り越えてきました。

その代表例が先ほども紹介した海思半導体による半導体チップの内製化です。

ファーウェイはかつてスマホの頭脳部分にあたる「プロセッサー」と、通信機能を司る「モデム」をスマホ市場で大きなシェアを持つ米国企業・クアルコムからの輸入に頼っていました。

ところがアメリカ政府による禁輸措置の影響でクアルコムからの供給が途絶えてしまいます。

これにはさすがのファーウェイはひとたまりもないかと思いきや、半導体開発専門の子会社・海思半導体の尽力により事なきを得ます。

さらに驚きなのがこういった準備を16年前の2003年からしていたということです。

2003年頃、ファーウェイで何が起こっていたのでしょうか。

実は2003年頃、ファーウェイは米国企業のモトローラに通信機器事業を100億ドルで売却する交渉を進めていました。

その理由は将来的に通信機器市場において欧米企業と熾烈な争いを強いられることを予見していたからです。

交渉は順調に見えたものの、モトローラの当時のCEOのガルビン氏が突然辞職し、新しくCEOの座についたザンダー氏がファーウェイの買収を拒絶しました。

交渉決裂を受け、もう自分たちの手で通信事業を続けるしかないファーウェイはどのような外部要因にも揺らがない、そしてどんな環境に身を置いても戦えるように備えておく必要がある、と実感します。

この出来事がファーウェイのリスクマネジメント能力の向上に繋がったのです。

余談ですがいまや米政府が恐れる程の急成長を遂げたファーウェイをあのとき買収しなかったザンダー氏は非常に後悔しているかもしれません(笑)

社員持ち株制

ファーウェイの大きな特徴の一つとして創業者と社員で「100%持ち株制」だということです。

中国の法制度により株式を待てる人数には制限があるため、社員の出資比率に応じて配当を与えられる仮想の株式、「ファントム・ストックという報酬制度を採用しています。

※ファントム・ストック:実際の株式ではなく、架空の株式を用いた報酬制度

これによるメリットは主に2つです。

1つ目は従業員のモチベーションアップです。

一株あたりの株価は会社の総資産を株式発行数で割ることで算出されます。

そのため会社の業績が上がれば上がるほど自分の収入に直結します。必然的に社員同士の競争も激しくなります。

事実、人事評価で下位10%前後の社員の多くが退職を余儀なくされることもあるそうです。

2つ目は会社に依存し「ぶら下がる」人材を排除することができる点です。

基本的には従業員の退職時にはファーウェイが社員の株式をすべて買い取ります。

ただし、45歳までファーウェイで勤め上げた社員には退職後も株式を保有することを認められています。

そのため、若手社員と比べハードワークが難しくなった中年社員が会社を辞めたとしても、会社が成長すれば継続的な収入が見込めるため、ある程度安心して退職することができます。

経営政策・事業システムを社内外にオープンに

ファーウェイは「心声社区」という、会社の精度や経営方針、政策などに関する意見を社員が自由に書き込めるイントラネットを設置しました。

※イントラネット:組織内でのみ構築されたプライベートネットワーク環境

基本的には社内向けですが社外からも閲覧可能です。

(興味がある方はこちらから閲覧できます → 「心声社区」)

この「心声社区 」を設置することで従業員の会社に対する理解を深め不満を軽減すると同時に、上層部との建設的な議論の場を設けることで責任逃れを防いだり、会社の非効率をいち早く発見することに繋がります。

こういった公正かつ効率的な会社環境を整えようとする取り組みは多くの日本企業、とくに大企業にとって見習うべきところもあるでしょう。

103条もの経営憲法からなる「ファーウェイ基本法」

ファーウェイは経営方針から生産システムに至るまで、他国企業から学ぶべきものがあればどん欲に吸収してきました。

例えば、数年前からトヨタ自動車出身の技術者を招いて指導を仰いだり、米IBMとコンサルティング契約を結んだりしています。

そうやって自国と他国の文化を融合させながら制定されたのが全6章、103の条文からなる「ファーウェイ基本法」です。

ここでファーウェイらしさが出ている条文を原文と共にいくつか紹介します。

第一条 华为的追求是在电子信息领域实现顾客的梦想,并依靠点点滴滴、锲而不舍的艰苦追求,使我们成为世界级领先企业。
第六十条 我们不搞终身雇佣制,但这不等于不能终身在华为工作。我们主张自由雇佣制,但不脱离中国的实际。
第一百零二条 华为公司的接班人是在集体奋斗中从员工和各级干部中自然产生的领袖。

华为公司基本法
  • 第1条 ファーウェイの望みは、電子情報領域で顧客の夢を実現することである。一歩一歩、ゆるがせにしない苦しい努力が、我々を世界的先進企業にする。
  • 第60条 我々は終身雇用制をとらない。我々は自由雇用制を主張する、ただし中国の現実から遊離しない。
  • 第102条 ファーウェイの後継者は、集団で奮闘する従業員と各階層幹部の中から自然に生まれる指導者である。 訳文参考:「ファーウェイの技術と経営」(白桃書房)

ファーウェイは中国語で「华为(Huáwèi)」と書きます。

これを日本の漢字に直すと「華為」(中華の為に)となります。

創業者・任正非氏は文字通り「中国のために」尽力するという決意をもって、このファーウェイという会社を興しました。

そしてこのファーウェイ基本法は、母国である中国のために成長し続ける、という任氏の思いがつまった結晶のようなものだと個人的に解釈しています(笑)

おわりに

いかかだったでしょうか。

今回は話題となっているファーウェイのすごさについてまとめてみました。

↓の記事ではファーウェイ以外で注目の中国のIT企業についてまとめてあるので、よかったらチェックしてみてください!



それではまた♪

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